スタッフBLOG

バリアフリー設計の新ガイドラインを公表

2025年 06月 04日 (水) 11:32

国土交通省は5月30日、「バリアフリー法」の改正政令が6月1日に施行されたことに伴い、バリアフリー設計のガイドラインとなる「高齢者、障害者等の円滑な移動等に配慮した建築設計標準」を改正して公表した。

新たな設計基準を示した「本編」に加え、バリアフリー法の概要や考え方についてまとめた「付録」、建築主(発注者)・設計者・施工者などの関係者に向けた別冊資料「建築プロジェクトの当事者参画ガイドライン」「バリアフリー改修・改善のポイント」「設計事例集」「誘導基準チェックリスト」も、合わせて公表している。

整備内容を「推奨」から「標準」に

同ガイドラインでは建築物のトイレ、駐車場、劇場の客席の設計基準について、改正政令を踏まえた内容に変更。これまで推奨にとどめていた記述を「標準的な整備内容」として明記している。

トイレについては、設計の考え方を大幅に変更し、「車椅子使用者用便房」「オストメイト用設備を有する便房」「乳幼児用設備を有する便房」など便房の種類を明確化した。さらに一つの便所や施設全体における便房機能分散について考え方を示している。車椅子使用者用便房の設置数についても、「小規模階を有する場合は床面積の合計が1000㎡に達するごとに1以上」といった基準を明記した。

https://www.s-housing.jp/wp-content/uploads/2025/06/250602_barrier2.png

一つの便所における機能分散の考え方

駐車場の記述も拡充

駐車場については、車椅子使用者用駐車施設の設置基準を変更。駐車施設数が200以下の場合は「駐車施設数×2%」台以上、200を超える場合は「駐車施設数×1%+2」台以上設置する必要がある。

さらに後部スペースの確保に関する記述を拡充。後部ドアからのスロープ・リフトによる乗降が可能な車寄せやスペースを建築物の出入口付近に設置すること、または車椅子使用者用駐車施設の後部に奥行き300㎝程度の乗降スペースを確保することが望ましいとしている。

https://www.s-housing.jp/wp-content/uploads/2025/06/250602_barrier3.png

車椅子使用者用駐車施設の例

劇場・競技場などの客席については、車椅子使用者用客席の設置数の基準を変更。客席に設ける座席数が400以下の場合は2以上、400を超える場合は当該座席数の200分の1以上などとした。また、車椅子使用者用客席のサイトライン(観客席からの視界や視線)の確保に関するチェック項目や検証方法について記述を追加した。

「長期優良住宅化リフォーム推進事業」について

2025年 05月 28日 (水) 16:37

~既存住宅の性能向上や子育てしやすい環境等の整備に資するリフォームを支援~

国土交通省                       令和7年5月20日

 「長期優良住宅化リフォーム推進事業」について、事業者登録の受付と「事前採択タイプ」の提案の受付を、5月20 日(火)より開始します。

1)対象事業
 以下の[1]、[2]及び[3]を満たす戸建住宅又は共同住宅のリフォーム工事
  [1] インスペクションを実施し、維持保全計画・履歴を作成すること
  [2] 工事後に耐震性と劣化対策、省エネルギー性が確保されていること
  [3] 以下のいずれかの性能向上に資するリフォームであること
   a) 構造躯体等の劣化対策   b) 耐震性   c)省エネルギー対策
   d) 維持管理・更新の容易性  e)可変性     f)高齢者対策
   g) 三世代同居対応      h)子育て世帯向け改修
   i) 防災・レジリエンス性向上改修

2)補助対象費用
  ・性能向上リフォーム工事(上記1)[3]のa)からi)までのいずれか)に要する費用
  ・インスペクション、維持保全計画・履歴作成に要する費用 等
   (インスペクション:専門家が建物の劣化や不具合を確認・調査する)
 3)補助率・補助限度額
  ・補 助 率:補助対象費用の1/3
  ・補助限度額:80万円/戸 等

 4)今後のスケジュール
  ・交付申請受付の受付期間を、「一期」と「二期」に分割します。
  ・一期においては、建物形態(「戸建住宅」及び「共同住宅」)の区分ごとに予算額の
   上限を設定し、下表のとおり交付申請時期を区分して受付を行います。
  ・一期において、予算の残余が生じた場合は、二期において、建物形態の区分によらず
   受付を行います。一期において、申請額が今年度の予算額の上限に達した場合は、
   二期の受付は行いません)

玄関の広さを考える

2025年 04月 30日 (水) 16:28

玄関には大容量の収納につくる。

とにかく収納!をテーマにした玄関です

アウトドア道具の積み下ろしが簡単にできるから、ということも大きな理由のひとつ。

外物置を用意できるほど広い土地ではなかった。

玄関で大量のアウトドア用品を収納する。

アウトドア用品以外にも、収納したいと考えていたものがいくつかあります。当然ながら靴、そして子どもが大きくなるまではベビーカーや抱っこ紐など子ども用品もあります。さらに仕事用の鞄なども玄関に置くことを考えました。

全体で30坪に満たない家でどれだけ玄関にスペースを割くか悩ましいところでしたが、それらの収容量を満たすために必要だったスペースが6畳でした

希望を叶える玄関は、全体で6畳の広さになりました。

希望を叶える玄関は、全体で6畳の広さになりました。

玄関の回遊動線

さまざまな検討を重ねた結果、玄関は回遊動線を取ることにしました。いわゆる家族用玄関、来客用玄関などと言われるパターンですが、そのあたりは特に意識せず、収納を設けつつ散らからないつくりを考えた結果、この形になっています。

また、耐震等級3を担保するために、どうしても必要な壁もあり、それらをうまく使った形になっています。

玄関ドアを開けるとすぐに框があり、そことは別にシューズクローゼットへ入ることができるようにしました。アウトドア用品を始めとした大きな荷物を片づける場合は、すぐに玄関に入らずにこのシューズクローゼットを経由することになります。靴箱(間取り図Ⓐ)をシューズクローゼットの通路側に向けているので、片づけをしつつ靴を仕舞うことができるようにしました。

玄関から室内とシューズクローゼットどちらにも行ける回遊動線に。

シューズクローゼットの内部

シューズクローゼット側の壁には一面の棚(間取り図B)を設けました。可動棚で棚板の高さは調整できるようにしています。

まずはキャンプ道具など、大物の荷物はこの壁収納に収められるようにしました。

シューズクローゼット入って左側にある靴箱(間取り図Ⓐ)も可動棚で、高さのある靴にも対応できるようにしています。

シューズクローゼットの奥の壁面には大きな物もしまえる収納棚を。

採光・照明・飾り棚

玄関の明かり取りとして地窓を設置しています。日中は外からの光を取り込み、夜は逆に家の明かりを駐車場に分けてくれています

玄関の電気は人感センサーにしています。電球色で優しい色の明かりにしています。明るさは昼光色に劣りますが、家に帰ってきてホッとする場所でもあると考えて、優しい色のライトを使っています。 靴の脱ぎ履きをする框には手すりと、手すりにつながるように小さな棚を設けました。鍵など、小物を一時的に置いておく場所として棚の奥行を設計しました。