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耐震性能を保つための”超”基礎知識

2022年06月13日(月) 09:52

ポイント①

構造設計の重要性

◉木造住宅の多くは建築基準法で定めた壁量計算で耐震性能を検討している。壁量計算とは耐力壁の強さ(許容せん断耐力)に応じて設定された壁倍率を用いて、決められた壁量を満たすように計画する手法だ
◉壁量計算は仕様規定であり、規定の耐力壁の量を満たせば法で定めた耐震性能が確保できるように考えられている。この手法を用いると「決められた仕様を守ればよい」という考え方になる
◉間取りの自由度を保ちながら耐震性能を確保するには、「決められた仕様を守ればよい」という考え方から「必要な性能を確保するにはどうするか」という考え方に変える必要がある
◉そのための手法が構造設計だ。構造設計には多様な手法があるが、木造住宅の場合、「木造軸組工法住宅の許容応力度設計」の許容応力度設計法が普及しつつある
この設計法により構造設計を行うことで耐震性能を確保しながらプランの自由度は大幅に高まる

ポイント②

建築基準法は倒壊を免れる程度の耐震性能

◉建築基準法は建物の最低基準を定めたもの。耐震性能については、大地震時にぎりぎり倒壊を免れて、人命を守れる程度の耐震性能を前提として壁量計算などの仕様を規定している
◉品確法の性能表示制度においては、建築基準法で定めた耐震性能を耐震等級1と位置づけている。その上で大地震時の被害がより少ない等級 2・3という上位等級を設けている
◉注意が必要なのは「耐震等級1=壁量計算を満たす」ではないことだ。品確法では耐震等級を評価するために建築基準法にはない規定を設けているためだ
その規定に従って耐震等級1となるように壁量を求めると壁量計算とはまったく異なった結果が出る
◉品確法の耐震等級1の場合、軽い屋根で壁量計算の1.2倍強、重い屋根で1.4倍弱の耐力壁が必要になる。品確法の目標性能に照らすと建築基準法の壁量では倒壊のおそれがあるということになる