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中国で史上最大規模の人工降雨の実施計画が検討されている。
「天河行程」
慢性的な水不足に悩む中国では、第二次世界大戦後から人工降雨を続けているが、今回の計画は宇宙工学までも駆使して、スケールも圧倒的。
チベット高原方面に大量の人工降雨装置を配置して、160万平方キロの範囲に雨を降らせる構想。
日本の空への影響が気にかかる。
天河計画は「空中の南水北調」とも呼ばれる。 (南水北調:中国南方地域の水を北方地域に送り慢性的な水不足を解消する構想)
インドモンスーンが運ぶ水蒸気をチベット高原で雨に変える。実行すれば最大で年間100億トンの水量確保が見込まれるということだ。
ただし、専門家の間には慎重意見もあって、計画の検討はまだ続く。 直ちに実行というわけではないらしい。(産経外信部)
雨が降る仕組みを活用した環境技術
この研究の第一人者、村上正隆特任教授(名古屋大学宇宙地球環境研究所)
人工降雨は、雲に”種”を加えることでもたらされる。
種には
ヨウ化銀の微粒子(雲の頂上部分が氷点下15度など十分に低いとき)
塩化ナトリウム(塩)等の吸湿性粒子(前記より高い氷点下5~0度程度の時)
既に国家事業で、’08年の北京五輪でも直前に雨を降らせておいて、開会式 を晴れにした。
中国大陸で大規模な人工降雨が行われると日本への影響が心配だが、「気流が日本海を渡るとき海から十分な水蒸気が供給されるので影響はありません」(村上正隆特任教授)
人工降雨は世界の40ヵ国で実施され、30ヵ国が高い関心を持っている。
目的は、灌漑用、霧消し、降雹抑制、集中豪雨の緩和などにも使われる。